今回は、映画『海賊とよばれた男』を鑑賞しました。
本は第十回本屋大賞受賞作品で、その流れで私もタイトルだけは知っていました。
映画があると知ったのはいつごろだったでしょうか。
2024年に入り、図書館で本を何度か借りて読んでみましたが、なかなかかたい内容でエンタメとして楽しめない。
仕方なく今回、映画を見るに至ったという訳です。
主人公・国岡鐵蔵(くにおかてつぞう)のモデルとなったのは、出光興行創業者の出光佐三(いでみつさぞう)という人物です。
映画の中では、若い頃から油売りとしてならし、自分の店を持つようになった鐵蔵が、「あいつは海賊だ」と言われながらも販路を拡大していきます。
終戦を迎え、外地から店員が帰ってくる中で、売る油もなく、鐵蔵たちはラジオを修理する仕事をしたりして食いつなぎます。
GHQの思惑や、同業者からの締め出し、メジャー(アメリカ石油会社)との軋轢など、幾多の難題を乗り越え、鐵蔵たちは自分たちの船(石油タンカー)を持つに至ります。
順風満帆に思えた国岡商店ですが、ある時期からメジャーにより石油を卸してもらえなるという、倒産の危機を迎えます。
そこで店主の鐵蔵がひらめいたのが、イランの石油を卸してもらうというもの。
当時イランは英国に搾取されていたこともあり、この話はとんとん拍子に進みます。
鐵蔵たちは、自分たちの石油タンカーを、イランの地へ送り込みます。
しかし当時、英国はイランの石油を積んだ船を軍に攻撃させるなどの措置をとっており、この任務は危険なものとなります。
船長を含む乗組員たちは、イランで石油を積み込んだ後、マレーシア近辺で英国軍艦と対峙しますが、停船命令を無視してこれをやりすごします。
石油タンカーは、無事日本へ戻ってきて、国岡商店は難を逃れます。
ラストシーン、鐵蔵は家族に囲まれ、若かりし頃の夢を見ながら90歳を超える長い人生に幕を下ろします。
いや、岡田准一の演技が光りに光っていました。
鐵蔵60歳を演じる岡田氏。
特殊メイクもありましたが、声の出し方から仕草から、老齢の鐵蔵がそこにいるかのような、圧巻の演技でした。
私の大好きな、「実話をもとにした」映画だったのですが、たった2時間には収まりきらない実際の出光興行の成り立ちを思うと、胸にずんと来るものがあります。
実際には、ものすごい多くの従業員が、鐵蔵(出光氏)の元で汗を流し、日々それぞれの人の上にドラマがありながら、今の出光があるのだなと思います。
出光のみならず、世に存在する会社の数だけ、当然のように人間ドラマがあります。
私も、働きながら、会社の来し方行く末、自分の人生に思いを巡らせます。
これから自分にどんな働きが出来るのか。
また、していくのか、そんなことを考えさせられました。
出来ることなら、後の世まで脈々と人の記憶に残る、そんな仕事をしたいと思います。
こういう気づきがあるから、映画鑑賞はいいですね。
皆さまも、よい映画ライフを!